Crystal Kayの「Lovin’ You」は決意表明ソング?楽曲に込められた真意を徹底分析!

Crystal Kayの「Lovin’ You」は決意表明ソング?楽曲に込められた真意を徹底分析!


今年3月に発売した「サクラ」がスマッシュヒットを記録したCrystal Kayが、9月14日に新曲「Lovin’ You」を発売。鈴木保奈美が18年ぶりに連続ドラマで主演を務めたフジテレビ系ドラマ「ノンママ白書」の主題歌に抜擢された話題曲です。

作詞・プロデュースは、ヒットメイカーである松尾潔。ほかにも、作曲には彼女の代表作「恋におちたら」を提供した坂詰美紗子、編曲には新進気鋭の作曲家motokiyoと、これまで松尾潔と多くの名曲を制作してきた川口大輔ら、鉄壁とも言える布陣を敷いています。

今回は、昨年から活動を本格化させたCrystal Kayの第2章において、本楽曲「Lovin’ You」が果たしてどのような立ち位置にあるのか、多角的な視点で考察したいと思います。

まず、楽曲の顔である「Lovin’ You」というタイトル。世界で最もポピュラーな愛の言葉と、それを乗せるメロディーラインは代々、世相との密接なリンクも相まって大衆に大きな影響を及ぼしてきました。

例えば、誰もが一度は耳にした事があるであろう1974年発表のMinnie Riperton(ミニー・リパートン)の楽曲では、ベトナム戦争で心身に傷を負った人たちに、ミニーリパートンの超高音のウィスパー・ボイスが心地良い癒しの効果を与えたと言います。

また、バブル真っ只中の1986年に発表された渡辺美里の作品では、「Lovin’」から「You」にかけて1オクターブも離れたメロディーラインを、彼女特有のパワフルなヴォーカルで歌唱。時代が持つ勢いを見事に表現しました。

そして2016年。Crystal Kayの「Lovin’ You」はというと、「Lovin’」(E♭)から「You」(D♭)にかけて2音しか離れていないサビのメロディが特徴。この”隣り合わせの旋律”は、女性の社会進出に伴う男女格差の減少という、タイアップ先のドラマのテーマはもちろん、仕事や家庭などのライフイベントを男女二人三脚で行う密な空気感を、遠からず演出しているようにも感じます。

 

一方、松尾潔が手がけた歌詞は、パーソナライゼーションされつつも、大衆を意識した普遍的な言葉で表現されています。その背景を語るには、時間軸を2013年まで戻さなくてはなりません。

Crystal Kayは、2005年にシングル「恋におちたら」の大ヒットで一躍スターダムにのし上がりましたが、2013年には「音楽を学びたい」という名目でニューヨーク修行へと旅立っています。しかし、キャパ60人という日本では考えられない小箱でのライブを行うなど、文化の違いもあって活動は苦難の連続。日本でのリリースも長らく途絶えていましたが、帰国後の2015年にLDHへ移籍したことで、満を持して第2章を始動させたのです。

そうした経緯を元に歌詞を紐解いてみると、<あきらめきれずにもがき続けた>というフレーズはニューヨーク修行の中での葛藤を感じさせるし、<あなたの右手だけは離さずにきた>は、彼女の商売道具であり最大の武器でもあるマイクを彷彿とさせます。また、<さよならを繰り返し あなたにたどり着けた>というくだりでの<あなた>は、現在のホームであるLDH、または”今の自分をとりまくかけがえのない環境”と置き換えることができるでしょう。極め付けは、楽曲の締めくくりに歌われる<向かい風にいま帆を揚げてふたり漕ぎ出そう>の箇所。第2章での躍進を高らかに宣言しているように感じませんか?

 

この「Lovin’ You」では、”逆境の中でもあきらめずに愛し続ける大切さ”について歌った上質なライフソングです。これまでの分析を振り返るに、Crystal Kayにとってその対象は”歌”なのかもしれません。もちろん、聴く人によっては愛する人を一途に思うラブソングにも捉えることが出来るでしょう。こうした間口の広さを兼ね備えた「Lovin’ You」が、この先何年経っても老若男女に愛され続け、名曲として後世に残ることを願っています。

文:山岸真介

Crystal KayCrystal Kay
ニューシングル「Lovin’ You」
2016年9月14日発売
iTunes

Crystal Kay 公式サイト