【インタビュー】ゴスペラーズ「GOSWING / Recycle Love」こだわりとチャレンジが調和した“ゴス三昧”な意欲作

【インタビュー】ゴスペラーズ「GOSWING / Recycle Love」こだわりとチャレンジが調和した“ゴス三昧”な意欲作


デビュー20周年を経てもなお、溌剌と飛躍を続ける最強ボーカルグループ、ゴスペラーズ。昨年末にメンバーの北山陽一が病気療養のため活動を休止するも、半年後に無事復帰。今回送り出される「GOSWING / Recycle Love」は、5人での再スタートを印象付けるボリューム満点の両A面シングルとなっている。また7月16日からは、鈴木雅之やSkoop On Somebodyらと共に10年以上に渡って中心メンバーを担うライブイベント「SOUL POWER」も開幕。まさしくフルパワーで夏を駆け上がろうとしている彼らは、果たして今、何を思うのか。メンバーの黒沢 薫と安岡 優に話を聞いた。

文:白原ケンイチ

一人でも欠けると自分たちの音楽が成立しない


——北山さんが無事にカムバックされたときの心境から聞かせてください。

黒沢:思っていた以上に身体の回復が早くて、それにまずびっくりしましたね。

安岡:北山さんが療養するとき、すでに今年の春までのスケジュールが発表されていたんですけど、待っていて下さるファンの方や北山さんのためにも、出来る限り4人で活動を続けることに決めたんです。でももし、今年の春までに北山さんが戻ってこないときは、その先のスケジュールを白紙にする覚悟をしていました。僕らは毎年、「SOUL POWER」の前に新曲をお届けしたい気持ちがあって、今年も当初からリリースを計画していたんですけど、正直4人のままだったら予定通りリリースしていたかどうかは分かりません。結果的に今回のシングルもリリースすることが出来ますし、「SOUL POWER」も無事に開催出来ることになり、ゴスペラーズとしての車輪を止めずに済んだので、そういう意味でも元気に戻ってきてくれて本当に良かったと思っています。

——4人でのゴスペラーズの活動はどういったものでしたか?

黒沢:北山のパートをメンバーで分担することで、何とか曲を成立させてライブを行いました。でもそうやってライブをやらせてもらうと、来てくれたお客さんがみんな北山のことを待ってくれているのが伝わってきて、とても有り難かったですね。

安岡:4人で5人分のパフォーマンスをするというのは意外と大変で。いつもと違うパートも歌うことになるので、つい元のパートを歌ってしまったりするんですよ。技法的には難しいことではないんですけど、ダンスをしながら歌ったりすると、思わず身体が覚えている方のパートが出てしまって。だからそれを塗り替えるために、去年から今年の頭にかけて、この20年で一番と言っていいほど歌の練習をしたんです。まさか自宅で歌の猛特訓をする日が来るなんて思ってもみませんでした(笑)。

黒沢:それで、やっとのことで4人の息が合ってきた!と思い始めたときに北山が戻ってきて(笑)。

安岡:今度はパートを元に戻す作業を頑張ることになったわけです(笑)。

——あはは(笑)。でもきっと、そういった苦労ひとつひとつも皆さんにとっては貴重な経験だったんでしょうね。

安岡:そうですね。一人でも欠けると自分たちの音楽が成立しないってことをあらためて感じましたし。こういうのを良い経験と言っていいのかは分からないけど、グループとしては確実に成長出来たように思います。

黒沢:楽曲に関しても、色々見直せましたしね。

こういったトラックを新鮮に楽しむ頃合いに差し掛かっている


——5人でのゴスペラーズに戻って初となるシングル「GOSWING」は、90年代に一世を風靡したニュー・ジャック・スウィングを彷彿とさせるゴスペラーズ流のサマーチューン。いつにも増してイケイケですね!

安岡:今回は元気に、景気よくいきたい思いがあったんです。しんみりと復帰をお祝いしてもらうのではなく、ファンの皆さんへの恩返しとして楽しい夏をお届けするのが僕らに一番出来ることだろうと思って。

黒沢:毎年夏に「SOUL POWER」があるから、ここ数年は基本的に、この時期にアップテンポを打ち出したい思いがありまして。実はこの曲は、ここから先のアルバムにも繋がっていく曲でもあるんです。90年代R&Bというキーワードを掲げてコンセプチュアルなアルバムを作りたいという話の中で、「じゃあアップテンポの曲はどういうものにしようか」と考えたときに、いわゆる90年代的な懐かしいビート感を、今なら懐かしむことなく聴いてくれるんじゃないかと。

——確かに、ディスコやファンクに代表される往年のサウンドが再燃して久しいですからね。

安岡:今年開催された「スーパーボウル」のハーフタイムショーで、ブルーノ・マーズが「Uptown Funk」を90年代っぽいサウンドにリアレンジしてライブしていたんですよ。音楽は一周するって言いますけど、「ついに90年代サウンドにまで帰ってきたんだな」ってそのとき思ったんです。僕らがデビューした当時、70年代のマーヴィン・ゲイのようなサウンドを踏襲したフリーソウルというジャンルが流行っていたように、90年代のサウンドも、2016年を生きる若者にとってはワクワクする音なんじゃないかなと。ただ僕らが懐かしむだけではなく、「今の時代にみんながワクワクするような音楽をやろうよ」という気持ちでこういうサウンドを選んだんです。

——それにしても、このタイミングでゴスペラーズがニュー・ジャック・スウィング的アプローチに臨むとは、内心かなり意外でした。

安岡:90年代初頭は、距離感的に近くなりすぎてしまって、流行が落ち着いた後もなかなか触りにくい空気があったんです。それが2000年を越え、最近では80年代リバイバルも来て、僕らにとってもリスナーにとっても、こういったトラックを新鮮に楽しむ頃合いに差し掛かっているような気がしているんですよね。

黒沢:リズムパターンこそ当時のものに近いんですけど、ドラムスやキックスの音付きは今のR&Bなんですよね。最近で言うと、STY君がやっているような音というか。三代目J Soul Brothersの「R.Y.U.S.E.I.」が大きなムーヴメントを起こした事実を踏まえると、まさに彼のお陰でランニングマンが復活したようなものだし、僕らも新しいスタイルであの頃のサウンドを塗り替えたいなと。